生産性向上特別措置法に係る先端設備等導入計画

「生産性向上特別措置法」とは?


日本企業の「生産性向上」が叫ばれている今、国会で「生産性向上特別措置法」が成立し、2018年6月6日に施行されました。

企業規模にもとづいて見た場合、特に中小企業・小規模事業者での生産性の伸びが大企業に比べて弱く、中小企業の生産性向上を後押しするための設備投資を支援する「生産性向上特別措置法」です。大企業に比べて体力の弱い中小企業・小規模事業者は設備の老朽化が進んでいても新しいものに買い換えるのが難しく、生産性の向上が難しい状況にあります。

この「生産性向上特別措置法」を根拠法として、中小企業・小規模事業者は「先端設備等導入計画」を作成することによって様々な優遇措置を受けられるようになり、これを通じて生産性の向上を図っていくものです。

「先端設備等導入計画」とは?


「先端設備等導入計画」制度の概要

「先端設備等導入計画」は、上述の「生産性向上特別措置法」において、中小企業・小規模事業者等が設備投資の実施を通じて労働生産性の向上を図る為に作成する計画です。

この計画は、所在している市区町村が国から「導入促進基本計画」の同意を受けている場合、認定を受けられるようになっており、日田市もこの認定を受けています。

※大分県は全市町村がこの認定を受けています。

 

この「先端設備等導入計画」を作成して所在する市町村の認定を受けた場合には、税制面や金融面等で様々な支援措置を受けられます。

対象設備

この計画の対象となる「先端設備等」とは、労働生産性の向上に必要な生産、販売活動のように直接供される設備です。

具体的には次のものが対象となります。

  • 機械装置
  • 測定工具及び検査工具
  • 器具備品
  • 建物付属設備
  • ソフトウェア

対象事業者の範囲

認定を受けられる「中小企業者」の規模は、中小企業等経営強化法第2条第1項に定めるものです。

業種分類 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員の数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5千万円以下 50人以下
サービス業 5千万円以下 100人以下
ゴム製品製造業 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5千万円以下 200人以下

「中小企業者」に該当する法人形態等については、以下の通りとなります。

  1. 個人事業主
  2. 会社法上の会社(有限会社を含む)
  3. 企業組合、協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合(工業組合、商業組合を含む)、商工組合連合会(工業組合連合会、商業組合連合会を含む)、商店街振興組合、商店街振興組合連合会
  4. 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会、内航海運組合、内航海運組合連合会、技術研究組合

「労働生産性」の向上とは?

この先端設備等導入計画において、「労働生産性」とは次の計算式によって算定します。

 

(営業利益+人件費+減価償却費)/労働投入量(※)

 ※「労働者数」または「労働者数×1人当り年間就業時間」

 

この式で算出される労働生産性の「向上」とは、直近の事業年度末の労働生産性を基準として、年平均3%以上向上することを言います。

制度利用上のポイント

「導入促進基本計画」の同意を受けた市区町村に所在

「生産性向上特別措置法」に基づく「導入促進基本計画」の同意を受けた市区町村に所在する中小企業者を対象として、国・市区町村が一体となって中小企業・小規模事業者の生産性の向上を強力に後押しします。

事前確認を受けた計画が対象

「先端設備等導入計画」を作成した中小企業・小規模事業者は、所在する市区町村に計画を提出・申請を行う前に、「認定経営革新等支援機関(商工会議所・商工会・地域金融機関・税理士・中小企業診断士等)」に事前確認を受けます。ここで、計画している設備投資によって年平均3%以上労働生産性が向上することについて、「認定経営革新等支援機関」の確認を受けます。

認定を受けると支援措置を受けられる

申請の結果、「先端設備等導入計画」について市区町村から認定を受けると、税制面・金融面などで、設備投資計画の実行を後押しするための支援措置を受けることができます。

「先端設備等導入計画」認定による支援措置


税制面

支援内容

この「先端設備等導入計画」の認定を受けることによる税制面の支援措置は、この計画に基づいて平成33(2021)年3月31日までに新規に取得した設備に係る固定資産税の課税標準が、3年間にわたってゼロ~1/2の間で市町村が定めた割合に軽減されるというものです。

日田市の場合は、固定資産税の課税標準が「ゼロ」となります。

対象事業者

税制面の支援措置を受けられる中小企業・小規模事業者は、この「先端設備等導入計画」の対象事業者よりも絞り込まれています。そのため、「先端設備等導入計画」の認定を受けることはできても税制面での支援措置を受けられないという中小企業も出てきます。

 

具体的には、次の基準を満たす事業者が税制面の支援措置を受けられます。

  • 資本金もしくは出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本金もしくは出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

適用手続き

税制面での支援措置を受ける場合は、設備メーカー等を通して工業会等が発行する証明書を入手する必要があります。この「証明書」は、「中小企業経営強化税制(経営力向上計画)」で使用するものと同じものになります。

金融面

支援内容

金融面での支援としては、資金調達時の債務保証に関する支援を受けられます。

具体的には、中小企業信用保険法の特例として、民間金融機関から融資を受ける際の信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

  通常枠 別枠
普通保険 2億円(組合4億円) 2億円(組合4億円)
無担保保険 8,000万円 8,000万円
特別小口保険 1,250万円 1,250万円

適用手続き

金融面の支援を活用する場合は、「先端設備等導入計画」を提出する前に信用保証協会、または全国信用保証協会連合会にご相談下さい。

補助事業

一部の補助金制度において、「先端設備等導入計画」の認定を受けていることが審査時の加点要因となります。

まとめ


2018年6月6日に施行された「生産性向上特別措置法」とこの法律に基づく「先端設備等導入計画」について、簡単にですがまとめてみました。

「先端設備等導入計画」を策定して市の認定を得ることによって、税制面や金融面を中心に支援を受けることができます。

「老朽化してきた設備を更新したい」とお考えの企業の方は、是非活用をご検討ください。